費用・お金

ペットの年間医療費の平均は?犬猫の年齢別データと備え方

犬と猫

執筆・編集: うちの子のかかりつけ編集部

ペットの年間医療費は、犬でおよそ8〜9万円、猫でおよそ4〜5万円が一つの目安です(アニコム損保が2025年の1年間について調査した結果では、治療費の平均が犬89,120円・猫47,130円)。ただしこの平均値は、あくまで全年齢をならした数字にすぎません。実際には年齢とともに大きく増え、犬の15歳の年間診療費は1歳のおよそ4.8倍という統計もあります。この記事では、年齢別・疾患別の具体的な金額、1回あたりの診療料金の目安、そして備え方を、公開されている統計をもとに整理します。

まず結論:犬・猫の年間医療費の平均

犬 猫
年間の治療費(平均) 約89,000円 約47,000円
年間の支出総額(フード・用品なども含む) 約413,000円 約195,000円

出典はアニコム損保が契約者5,494件に対して行った、2025年1年間の支出に関する調査です。犬の治療費は前年比110.9%と上昇傾向にあります。犬のほうが猫より医療費が高くなる傾向があり、これは体格による薬量の違いや、疾患の傾向の差が背景にあると考えられます。

なお、これらは「平均」であり、実際にはほとんど費用がかからない年と、手術や入院で数十万円かかる年が混在します。年間予算として考えるより、「いつか来る大きな出費に備える」視点が実態に近いといえます。

年齢が上がると、医療費はどれだけ増えるか

もっとも知っておきたいのが、この変化です。アニコムの『家庭どうぶつ白書2025』は、犬801,127頭・猫269,938頭の保険請求データをもとに、年齢別の年間診療費を公開しています。

年齢 犬(1頭あたり平均) 猫(1頭あたり平均)
0歳 63,014円 52,460円
1歳 54,106円 44,259円
5歳 82,886円 58,104円
7歳 105,442円 71,138円
10歳 170,741円 107,656円
13歳 234,401円 160,785円
15歳 261,239円 182,277円

もっとも安い1歳と比べると、15歳では犬が約4.8倍、猫が約4.1倍になります。犬・猫の平均寿命はそれぞれ14.1歳・14.5歳とされており、シニア期は決して短い期間ではありません。若いうちの負担感で生涯を見積もると、後半で足りなくなります。

「平均値」と「中央値」の差にも注意

同じ白書では、犬の10歳以上の年間診療費は平均172,742円に対し、中央値は99,346円とされています。中央値のほうが低いのは、一部の高額なケースが平均を押し上げているためです。多くの家庭では中央値に近い金額、しかし一定の割合で数十万円規模の年がある——これが実像に近い読み方です。

どんな病気にお金がかかるのか

寄り添う子犬と子猫

診療費に占める割合をみると、犬と猫では傾向がはっきり分かれます。

  • 犬:皮膚 16.7%>消化器 12.1%>肝・胆道系および膵 8.9%>筋骨格 8.7%>循環器 8.5%
  • 猫:泌尿器 24.5%>消化器 20.7%>全身性 11.2%>呼吸器 6.4%>循環器 6.3%

猫は泌尿器のトラブルが診療費の約4分の1を占めており、突出しています。年齢帯別の代表的な傷病と、1年あたりの平均診療費は次のとおりです。

対象 傷病の例 年間診療費の平均
犬(0〜4歳) 消化管内異物・誤飲 31,246円
犬(10歳以上) 弁膜症 156,244円
犬(10歳以上) 歯周病・歯肉炎 66,372円
猫(0〜4歳) 尿石症 32,662円
猫(10歳以上) 糖尿病 185,402円
猫(10歳以上) 甲状腺機能亢進症 109,981円

高齢期に増える病気ほど、治療が長期にわたり費用も大きくなる傾向が読み取れます。逆にいえば、歯周病のように予防でリスクを下げられる病気もあるということです。

「1回あたり」の診療料金の目安

年間の平均だけでは、実際の窓口でいくら払うのかが見えません。日本獣医師会が全国1,096の動物病院を対象に行った診療料金実態調査(令和3年実施・令和5年公表)から、主な項目の中央値を紹介します。

項目 中央値
初診料 1,500円
再診料 750円
時間外(深夜) 6,250円
入院料(犬・小型/1日) 2,500円
エックス線(単純撮影) 4,000円
腹部・心臓の超音波検査 各4,000円
全身麻酔 11,250円
歯石除去 11,250円
猫の避妊手術 22,500円
犬の避妊手術 27,500円
子宮蓄膿症の手術 45,000円
椎間板ヘルニア(片側椎弓切除) 87,500円
MRI検査 45,000円

手術費用には麻酔料が含まれていないため、実際の請求は複数の項目の合計になります。たとえば手術なら「診察+検査+麻酔+手術+入院+薬」が積み上がる、と考えてください。避妊・去勢の詳しい内訳は猫の避妊手術の費用もあわせてご覧ください。

なぜ病院によって金額が違うのか

犬や猫の診療は自由診療で、公定価格がありません。日本獣医師会も、獣医師団体が基準料金を決めたり獣医師同士が料金を協定したりすることは独占禁止法により禁じられている、と説明しています。病院ごとに金額が違うのは、制度上むしろ当然のことです。

だからこそ、検査や手術の前に見積もりを出してもらう、追加費用の可能性を確認する、といったやりとりが大切になります。人間の健康保険のような3割負担の仕組みはなく、原則として全額が自己負担である点も、前提として押さえておきたいところです。

医療費に備える3つの方法

1. 予防と早期発見でリスクを下げる

もっとも確実なのがこれです。年齢別のグラフが示すとおり、費用は高齢期に急増します。ワクチン、フィラリアやノミ・マダニの予防、歯みがき、そして定期的な健康診断は、重い病気になってからの支出を減らす投資と考えられます。歯周病が高齢犬の診療費上位に入っていることは、日々のケアの価値を示しています。詳しくは犬のフィラリア予防や犬の健康診断の費用もご覧ください。

2. 自分で積み立てる

毎月一定額を「うちの子用」として別口座に積み立てる方法です。保険料と違って使わなければ残り、通院以外(介護用品やシニア用フードなど)にも使えるのが利点です。一方で、若いうちに大きな病気をした場合は貯蓄が間に合わないというリスクがあります。

3. ペット保険に加入する

高額な治療が必要になったときの備えとして機能します。実際に支払われている保険料は犬で年間4万円前後、猫で年間3万円弱が目安とされています。加入率は約20%程度と推計されています。加入前には、補償割合、免責事項、年齢による更新条件、そしてすでにある持病が対象外になる点を確認してください。高齢になってからでは加入できる商品が限られます。

どの方法が向いているかは、家計と性格によって変わります。「予防+積み立て」で十分な方もいれば、「予防+保険」で安心を買う方もいます。いずれにしても、予防が土台になる点は共通です。

よくある質問

飼い主とペット

Q. ペットの年間医療費は平均でいくらですか?

調査によって幅がありますが、治療費の平均は犬でおよそ8〜9万円、猫でおよそ4〜5万円が目安です。ただし年齢による差が非常に大きく、シニア期には犬で20万円を超える水準になります。

Q. 犬と猫ではどちらが医療費が高いですか?

統計上は犬のほうが高くなる傾向があります。アニコムの2025年の調査では、年間治療費は犬89,120円に対し猫47,130円で、約1.9倍の差がありました。

Q. ペットの医療費は医療費控除の対象になりますか?

対象になりません。医療費控除は人の医療費が対象で、ペットの診療費は含まれないのが原則です。ただし身体障害者補助犬など、例外的な扱いがある場合があります。

Q. 治療費が払えないときはどうすればいいですか?

まずは動物病院に正直に相談してください。分割払いに応じる病院や、治療の優先順位をつけて段階的に進める方法を提案してくれる場合があります。金額を理由に受診自体をためらうと、結果的に重症化して費用が増えることもあります。

費用の見通しは、かかりつけと一緒に立てる

年間の医療費は、うちの子の年齢・犬種・持病によって大きく変わります。統計はあくまで全体の傾向であり、目の前の一頭にどんな備えが必要かは、日ごろから診てくれている獣医師がもっともよく知っています。健康診断のときに、これから増えそうな費用について相談してみてください。お住まいの地域の動物病院を探すページや東京都の動物病院、大阪府の動物病院の一覧から、通いやすい病院を探せます。

出典・参考

※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。金額はいずれも調査時点の統計にもとづく目安であり、診療料金は動物病院によって異なります。診断・治療・費用は必ず獣医師・動物病院にご確認ください。

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